【旅:奥入瀬渓流A】



【2日目 その1】

曇天ではあるが、気温も19℃と涼やかだ。
今日は時間もたっぷりあるので、源流である十和田湖まで歩いてみることにする。

どれくらいの時間がかかるかわからないので、昨日歩いた「石ケ戸」まではホテルのバスでスキップすることにした。

バスに乗り込むと、30代半ばごろの女性二人組が、「十和田湖まで歩くと4時間くらいみたい」と話している。
これはありがたい情報だ。
まだ8時過ぎなので、お昼過ぎには着けそうだ。

バスを降り、川沿いに向かう。
長丁場になりそうなので、休憩所で飲み物を買い込み、いざ源流に向けて出発。

歩き出してまもなく、瀬々が目に入ってくる。
朝の川辺は、いっそう清々しく、流れから香る水風が心地いい。



「ざーっ」という響きが、この瀬、彼の瀬の間で大きくなっては小さくなり、そしてまた大きくなる。
それにつれて移り変わる川面の景色は、どこをとっても美しい。

瀬の姿に目移りしながら、歩を進める。


ホテルでもらったガイドマップによると、この渓流沿いにはいくつもの瀧が散在しているようだ。

瀬音を楽しみながら進んでゆくと、遊歩道に設置された道標に「雲井の瀧」の表示が。
どんな瀧なのか期待しつつ、流れの此方彼方を見回すが、それらしいものはどこにも見当たらない。

まさかとは思いつつも、遊歩道に沿って走る車道に上がってみると、バス停の奥にその姿を見つけることができた。



高さはおおよそ10m、幅は5mくらいだろうか。
ふた筋に分かれて流れ落ちている。
その奥にも小さな流れがうかがえ、数段の瀧になっているようだ。
それほど大きな瀧ではないため、かなり間近まで近づける。
マイナスイオンを浴びつつ、瀧音にしばし耳を傾ける。

さて、先はまだ長い。
あらためて歩を進めよう。


木の間から嫋やかな一筋の水落ちが見え隠れする。
「白布の瀧」だ。
渓流の対岸を静かに流れ落ちているので、気をつけていないと、見過ごしてしまいそうだ。



「白布の瀧」からしばらくは、落ち着いた流れがつづく。





多くの瀬の移り変わりを目にした後では、こうした穏やかさも心地いい。
「動と静」、それぞれがそれぞれの魅力を高め合っているようでもある。

しばらくその場に留まり、目を瞑って流れに耳を傾けていると、心の中の雑音までその水音とともに静かに流されてゆくようだ。
そのままそこに佇んでいたくなるのは、よほど日頃の心の淀みが深いからなのだろうか。

あまりの心地よさに先へ進むのを忘れてしまいそうになるが、そろそろ腰を上げることとしよう。





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